リノベでセルロースファイバー
現場ネタのブログから遠ざかっていましたので、本日は真面目に、富士市のリノベーション現場からでございます。
壁が白く見えます。
うっすら下地の木材が見えますが、白い部分は、丈夫な不織布で、断熱材のセルロースファイバーが溢れないように貼ってあります。
まだ下地段階で、このあと、ボードが貼られます。
ちなみに床はもう見えませんが、合板の下には同じくセルロースファイバー断熱が施工済みです。
また、上の写真はユニットバスが入る部分なので、床の施工がもう少し複雑になります。
(タイミングよく写真が取れたらまたご紹介します)
で、そのセルロースファイバーを施工しているところです。
ホースから、粗い粉状のセルロースファイバーが空気で圧送されてきます。
一箇所からだけだと隙間なく充填するのが難しいので、何箇所か穴を開けて詰め込みます。
こんな具合に吹き込んでゆきます。
上の写真の、左上の方には、下屋部分の天井にも施工されて、ホースを挿した穴がテープで塞がれているのがわかります。
さて、この断熱材に関してですが、新築では、マクスの断熱材は60kg/m3という特注の高密度の木の繊維断熱材を使っていますが、リノベーションではこのセルロースファイバーを使うことが多いです。
セルロースファイバーは、主に古新聞から作られ、新聞はパルプ(食物繊維)から作られます。
パルプも多くは木材が原料です。
マクスの木の繊維断熱材は苫小牧の工場で、カラマツのチップから作られています。
ですからどちらも調湿性に優れておりますが、より高い調湿性があって、より高い断熱性があるので、木の繊維を新築では使っています。
では、なぜリノベーションではセルロースファイバー吹き込みなのか?
のお話です。
上の写真は、解体時のこちらのお宅。
社員大工の菊池の向こうに見えるのは、内壁が剥がされた外壁。
筋違とアラシが見えます。
アラシはモルタルの下地で、柱と、間柱(柱と柱の間にある細い部材)に釘で打ち付けられています。
筋違と間柱では、当然、耐震上重要な筋違が優先ですので、間柱が切られ、筋違が通っています。
ですから、間柱近辺では、アラシは釘で、筋違に打ち付けられています。
つまり、この場合、既存の筋違いを取ろうとすると、アラシとくっついているので、無理に取ると外壁のモルタルが割れてしまいます。
だから、基本的に、外壁がモルタルでアラシが使われている場合、古い筋違いは取れません。
まぁ、「木造モルタル」ってくらいで、昔はみんなこの仕様だったわけです。
さて、上の図で、黄色が筋違で、水色がアラシです。
つまり室内側から見ています。
断熱材(オレンジ)が、びっしり施工されたらこんなイメージ。
施工された断熱材は、手前に移動してみるとこんな感じ。
筋違の分は切り取られています。
それじゃなきゃ入りませんからね。
反対側から見るとこんな感じ。
さて、これらは、ただの仮想モデルだから簡単に移動したり出来るわけですが、
仮に、この3Dの様に、寸分の違いなく正確に筋違の形をくり抜いた断熱材を作ったとしましょう。
で、アラシのないコチラ側から嵌め込むには…?
筋違があるから無理ですね。
そもそも、隙間なく筋違の型をくり抜くのだって、ほぼ不可能。
断熱材がグラスウールならなおさら。
でもって、どんな断熱材でも、隙間ができたら、性能はガクッと落ちます。
こんな感じ。
数字は、グラスウール本来の断熱性能が、何%発揮できるかを示しています。
筋交いが入っている時に、100%の断熱材の性能を引き出すことが、いかに難しいか、お分かりいただけると思います。
だから、数字、だけじゃダメなんですね。
「丁寧な施工」あってこそ、なんです。
新築では断熱材が入る外周部は、筋違を設けず面材で耐震性を確保、
リノベーションでは、筋違があっても、すき間に吹き込むことが出来るセルロースファイバー、
と、使い分けている、というお話でした。
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2017年05月30日
Post by 株式会社 macs
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生存確率50%の超未熟児だった娘が退院して家族がそろった夜に涙してから 家は家族の絆を育む場所だと気付く。地元で百年。これからも社員大工たちと共に創りあげ 家族の笑顔と絆を一生涯守ってゆくのが私の使命。