浴室のシロアリ
本日はリフォーム現場でのお話です。
築24年のこちらのお宅、実はマクスの施工。
当時二十歳の私はまだ学生ですから、建築など何も分からなかった頃、現会長の父が設計して建てさせていただいた住宅です。
既存のタイル浴室を、ユニットバスに変更する工事をご依頼いただきました。
ところが…
ご覧の通り、解体してみると、出窓部分が激しくシロアリの食害を受けてしまっていました。
入社前と言っても、自社物件だけに、ショックです。
この部分は、上に二階ベランダが跳ね出しており、雨が当たらない空間。
となると、浴室のタイル目地からの漏水が疑われますが、目地の劣化もほとんど見受けられませんでした。
しかし、解体を続け、土台にたどり着くと…
この様に、シロアリの食害で激しく土台が傷んでいます。
シロアリは現在も活動中。
下は、動画でも撮影した土台部分です。
1.食害がどこまで進んでいるか
2.シロアリの進入経路はどこか
この2点は、なんとしても究明せねばなりません。
上の写真で、ノコギリのイラストの位置で、土台を切断しました。
それが上の写真。
土台の切り口が見えると思いますが、幸いなことに、それ以上は進んでいません。
とにかく、徹底的に周囲を解体していったのですが、蟻道が見つからない…。
結果判明したことは、
1.食害をしていたのはヤマトシロアリ
2.珍しいケースであるが、土壌ではなく土台そのものを巣としていた
3.脱衣場に古い食害の跡があったので、ここから巣別れしたシロアリが居着いた模様
ということでした。
冒頭の通り、雨の進入も、目地からの大量の漏水もありませんでした。
なのに、土台は半分土のようになってしまっています…。
シロアリに関しては、ながらく、
「シロアリはごくわずかな水分で生活をし、自ら水分を運ぶことは出来ない」
とされていましたが、研究によって、ヤマトシロアリにも水嚢(water sack)と呼ばれる水を貯める(運ぶ)器官があることが言われるようになりました。
この器官の働きは完全には解明されていないようですが、この現場を見る限り、土台が土になるほどの水の浸入はあり得ないので、シロアリが運んだとしか判断のしようがありませんでした。
いずれにしましても、シロアリの食害が、局所的であり、同時に工事によってそれを発見できたことは、不幸中の幸いでした。
・土台の交換(ケミカルアンカーでの固定)
・柱の据え換え(接ぎ木+添え木)
・土壌のシロアリ処理と木部のシロアリ予防処理
・耐震補強
をして、一安心。
予定よりも解体範囲が多くなってしまいましたが、その辺は責任を持って工事をさせていただきました。
シロアリの怖さを改めて思い知らされました。
定期的な点検、大事ですね。
2015年06月10日
Post by 株式会社 macs
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生存確率50%の超未熟児だった娘が退院して家族がそろった夜に涙してから 家は家族の絆を育む場所だと気付く。地元で百年。これからも社員大工たちと共に創りあげ 家族の笑顔と絆を一生涯守ってゆくのが私の使命。