木質繊維断熱材と高性能グラスウールの比較実験
住宅(会社)選びで迷うことの多い断熱材。
本当は、内断熱か外断熱か?とか、断熱材の種類よりも、きちんとした施工の方が、はるかに重要だったりしますが、マクスが標準にしている木質繊維断熱材について、簡単な実験をご紹介します。
熱の伝わり方には、
伝導(熱エネルギーそのものの伝わり)
対流(物質の移動による熱の伝わり)
放射(電磁波による伝わり)
の三種類があり、さらに、周囲の温度や、実験箱そのものの素材の温度や熱伝導率などなど、実はとっても複雑で難しいのですが、今回ご紹介する実験箱はこちら。
左のピンクは、高性能グラスウール(密度24kg/m3、厚さ12cm、熱伝導率0.036)、
右の茶色は、マクスの木質繊維断熱材(密度60kg/m3、厚さ12cm、熱伝導率0.039)。
電球は強烈な熱を出す200Wの白熱球・
中心の白は両者の箱の熱が移らない様に、スタイロフォーム断熱材を挟んでいます。
熱伝導率が同じ(むしろグラスウールの方が良い)で、熱の伝わり方がどう違うのか…?
電球を付けて実験開始。
写真では、温度計をいくつか差していますが、中心部の温度で考察します。
点線の「GW」がグラスウールの中心部の温度です。
点灯と同時に温度は急上昇し、消灯後数分にピークを迎え、冷めて行くのが分かります。
次に、木質繊維断熱材、実線の「WF」。
実験開始直後、点灯中(グラフの背景がオレンジ)にもかかわらず、いったん温度が下がって、しばらくの間その温度で安定しているのが分かります。
これは、写真に写っている篠原総務部長の服装でお分かりの通り、今回の実験は冬。
実験時の外気温は約7℃。
当然夜間はもっと寒かったので、断熱材自体の温度が冷えて(つまり蓄冷されている状態)いるためです。
注目すべきは、やはり断熱材の温度のピークを迎える時間の違い(ずれ)。
高性能グラスウールが、消灯後3分付近だったのに対し、木質繊維断熱材は、消灯の25分後にピークを迎えてから冷め始めます。
日本の断熱材の評価指針である熱伝導率は、高性能グラスウールの方が高性能な値なのに、この結果は、明らかに木質繊維断熱材の方が、熱の伝わり方も遅く、熱の伝わる量も少ない、のが見てとれます。
これら結果は、密度の違い、つまり熱容量の違いです。
熱を伝えにくければ、夏に降り注ぐ熱を室内に伝えにくく、冬の暖かさを逃がしにくい。
しかも木で出来ているから調湿性が高いのです。
この、熱容量が大きい木質繊維断熱材を、壁に12cmびっしり詰め込み、屋根には24cmとすることで、冬暖かいのはもちろん、茅葺きの家のような、夏に涼しい家となります。
この木質繊維断熱材は、北海道のカラマツのチップから作られています。
国産材を利用することで、環境にも優しく、しかも、木の繊維ですから、壁の中12cm分も調湿層、そんな理想的な断熱材だと思います。
この記事は、マクス辞典用に再編集しました。 15.9.20.
2013年01月11日
Post by 鈴木 克彦
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生存確率50%の超未熟児だった娘が退院して家族がそろった夜に涙してから 家は家族の絆を育む場所だと気付く。地元で百年。これからも社員大工たちと共に創りあげ 家族の笑顔と絆を一生涯守ってゆくのが私の使命。