太陽の動きをシミュレーションして設計する
伊豆の国市の堀部安嗣建築設計事務所の設計の住宅工事現場からです。
外壁面。
まだ下地ですが、この面は【北面】です。
本日のお話、この【北】がキーワードなので覚えておいてください。
上の画像で指差す窓は、地窓。つまり、床面にある窓。
内側から見ると、こんな感じ。
つまり、部屋の中から「北側」を見ています。
地窓の上には、巨大なFIXガラス(開かない窓)。
この巨大なFIXガラス。
この巨大なガラスからは、お庭がどーーーーん!
気持ちいいでしょうね。
「北窓開く」は俳句の春の季語。
寒い冬中、閉めきってあった北側の窓を開くこと、ですが、京都で名庭と言われる庭は、たいてい建物の北側にあると言います。
その理由は、南に面した庭を室内から見ると、庭自体は逆光になるから、庭を眺めるのが眩しいですよね?
でも、建物の北にある庭は、室内から見ると、反対に順光になるので、庭自体に光があたり、室内からはとても見やすい、というわけです。
だからこの巨大なFIXから、庭とその向こうの山々(うまくすれば富士山も)を見たら、さぞかし絵になるだろうと思います。
まさに、ピクチャーウインドウ!
で、その巨大なFIXの下には、ベンチがあり、ベンチの下には格子、その奥に地窓、という凝った設計。
さすが日本で一番売れっ子の住宅建築家、という感じなのですが、当然、工務店のオヤヂとは「コダワリ」のレベルが違うわけで、
「地窓は、開けない時には、存在感を消したい…」
とのことで、ガラスに黒いフィルムを張りましょ…と。
ちょっと待ってくださぁーぃ!
そこは施工担当の工務店としては、簡単にハィハィとだけ言っていれば良いところではございません。
窓ガラスは、「熱割れ」という現象を起こします。
熱割れとは、以下のメカニズムで起きます。
ガラスにお日様が直接当たる部分は、ガラスが吸熱して高温となり膨張します。
↓
一方、ガラスの周辺部は、サッシ枠に入り込んでいるため日射を受けず、またサッシ枠にも放熱するため、低温のままになり膨張しません。
↓
この、ガラスに日が当たる部分と当たらない周辺部の温度差による膨張率の違いは、条件により、簡単にガラスの強度を超える力となり、ガラスを割ってしまいます。
この現象を熱割れと言い、日差しを遮ろうとガラスにフイルムを貼ったり、冬に布団を温めようと室内でガラスに掛けたりすると、いとも簡単にヒビが入ります。
で、「北側の地窓に、日が当たるのか?」を検証です。
私のブログには度々登場しますが、今はアプリで、現在地を入れると、太陽の動きを正確にシミュレーション出来るのです。
上の画像。
地窓の所に立ってスマホをかざすと、現時点での西日は、隣家の壁になって一切日があたりません。
ところが、7/1にしてみると、午後4時ころ、1時間ほど隣家と軒の間から、日が当たることが分かりました。
軒は1.2mも深く出ている平屋状の建物なのに、です。
ちなみに、朝日は何の問題もなし。
さて、夏の一ヶ月間ほどの夕方の西日。
このまま行ったら、ガラスに黒いフィルムを貼ると、割れる危険あり!
…
うーん、でも、堀部さんは諦めてくれないだろうなぁ…
どうしよう…
サンタさん、僕に良い知恵をください…
冬休みにでも、御節を食べながら考えるとします。
御節に飽きたら勉強会です!
2019年12月24日
Post by 株式会社 macs
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