富士市の水の旅-2/3
大晦日でも、七十二候はやってきます。
七十二候のタイミングでアップする「びお静岡東部版」。本年最後の締めくくりを社長から命ぜられました、インテリアコーディネーターのワカメこと酒井です。
七十二候は冬至の末候【雪下出麦:ゆきくだりてむぎのびる】。
雪の下では、麦が伸び始める頃ですよ、という意味だそうです。
前回に引き続き、わかめの「富士川水の旅探検ツアー」その2です。
岩淵の歴史を勉強しながら、バスは富士宮市芝川町へ。ここから「発電」のテーマへ。
以前、鷹岡まち歩きツアーで書かせて頂いた、潤井川を利用した王子エフテックスの発電と同じく、今回は富士川の水をどのようにして発電に利用しているかを探りに芝川町へ。
まずは、この発電は何のためか・・・。
これは、新蒲原にある大きな会社、日本軽金属の自家発電のため。
日本で唯一アルミニウムの精錬工場を国内に持つ、一貫生産メーカーで、昭和初期の設立当時から軍需工場だったそうで、航空機用等のアルミニウムを生産していた。
軍需工場の為、国土交通河川省からの水利権を行使し、その発電はなんと、山梨県南巨摩郡の柿元ダムから始まり、本栖湖や富士川などに6か所も発電所をもっています。
そして、びっくりなのが、その水路のほとんどが、地中に埋まっていること。
ここ芝川町には、その水路が唯一地上に見えている場所があるところ。
写真左上に少し見える、グレーの太いパイプがそうです。
形状はトラス型水管で、直径は4m。
その他の場所は、地下にトンネル状のパイプラインになっています。
今や住宅街の下も、道の下も、富士川の下も通っているんだとか。
これを昔の人はどうやって掘ったんだろうか・・・。気が遠くなる(汗)。
でもなぜ、ここだけ露出しているかというと、写真では分かりにくいですが、なんとも頑丈そうな岩盤が見えています。たぶん、断念したんじゃないかと。
それにしても、露出した水管から左右をみると、地形は急激にアップダウンしていて、単純に考えると、水は流れるのだろうか、と疑問に思うのですが、このことを、なんと言うか?・・・
高い位置にある出発地点と低い位置にある目的地点を管でつないで流す際、管内が液体で満たされていれば、管の途中に出発地点より高い地点があっても、ポンプでくみ上げることなく流れ続けるという「サイフォンの原理」なんですねぇ。
場所はJR身延線芝川駅の脇、県道10号を山梨方面に向かうと県道75号との交差点、釜口橋のたもとに見えます。機会があればぜひご覧ください。
そして、バスはまた富士方面へ引き返し、北松野、たつみ庵さんにて昼食。
富士川の流れと岩肌の見えるロケーション、うん、すてき。
そして、ここの名物だという分厚いとんかつ。
うっ、重い…と思いきや、柔らかっ!以外に軽い!そして完食!
たまたま、ご一緒したOB様のご子息がご飯を食べ終え、さっき見た水管をスケッチしたよ、と見せてくれました。
ううう!なんて観察力!
そして、こんなコアな話を楽しんでいる!なんて素晴らしい!
おばちゃん、感動だよ~ありがとう、たっくん!
昼食を楽しみ、バスは新蒲原、水路の最終ポイントへ。
山梨から出発した水は、新蒲原、国一バイパスからも見えるパイプラインで工場内へ、そして発電し、水の仕事完了!
富士川を見ると、川の水は大雨が降らなければ、水量は決して多くありません。
その量は5トン/秒ですが、この発電で流れて来る水量は32トン/秒だというので、企業ってすごい力を持ってるんですね。
富士市では前回も書きましたが、明治時代から製紙業が始まりました。
これには水が必要不可欠です。
そのため、企業は地下水をくみ上げ使っていましたが、昭和30年代には地下水を取りすぎて井戸から海水が出てくる、地盤沈下などの障害が発生し、規制が始まりました。
そこで!この新日軽で発電の為に使用した富士川の水の出番です。
それまでは、発電をしたらその水は、そのまま海に流すだけでした。それを再利用!
そのお話は、次回へ・・・。
文:酒井
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住まいマガジン「びお」の、静岡地方版ざます。
工務店のマクスから、家づくりの情報とは違った切り口で、「住まいと暮らしの視点」からローカルで旬な話題を発信してゆこうと思っておりますワン。
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