富士市鷹岡地区の産業と歴史建造物
本日より、季節は「雪が降り始める頃」の【小雪(しょうせつ)】です。
七十二候は、小雪の初項で【虹蔵不見:にじかくれてみえず】。
日差しが弱まり曇りがちで、虹を見ることが少なくなるころ、の意味だそうで、そんなうす曇りの肌寒い日、私、わかめことインテリアコーディネーターの酒井が個人的に所属しています、富士建築士会が後援する
「富士市鷹岡地区 産業と歴史建造物に触れるまち歩きツアー」
に参加してきましたので、びお静岡東部版でご紹介します。
このまち歩きツアーは、現在開催中(~11/25)の
「駿河の国の芸術祭 富士の山ビエンナーレ」
の地域連携プロジェクトの一部です。
鷹岡地区といえば、マクスから南に下りすぐ隣の地区です。
富士市では製紙業が盛んですが、その発展の先駆けになる地域です。
今はシャッター街になってしまった鷹岡商店街は私の生まれ育った町です。
なぜ、この地域に産業が生まれ、発展したかという歴史を、歩いて自然や古い建物を見て、触れながらの探検です。
まず、JR身延線・入山瀬駅に9時に集合。
30人ほどの参加者に加え、私たちボランティアを含め、総勢40人で歩き始め、鷹岡商店街へ。
大正から昭和の初めに建てられた、築80年を超える古い商店が今も残っています。
「岩科機械製作所」は大正7年(1918)に機械部品の製作工場として建てられました。
木造平屋建てで、変形の木造トラス式の洋組みが面白い構造で、大型のトラックを工場に入れるために、入口のドア、鴨居、欄間が取り外せるような工夫があり、現在も現役の工場です。
戦時中は小銃の弾を作っていたそうです。
「佐藤医院」昭和初期木造モルタル仕上げ。
アールデコのモチーフを外壁に装飾した当時ではモダンな建物です。
ここは、私が子供のころから、大人になってもお世話になった病院で、玄関から上がり框が高くて、待合室は天井が高く、とにかく寒い。
さらに黒光りした木造の渡り廊下を渡り、暗い診察室へ。
注射が怖かったな…。
厳しくとも優しいおばあちゃん先生の思い出が忘れられません。
「深沢邸」東洋建鉄工業所社長宅。昭和2年建築、木造2階建て。
玄関ポーチと応接室が洋風になっており、昭和初期に流行した典型的なアールデコ様式が当時のまま現存しています。
漆喰で装飾された天井の廻り縁や照明器具や家具はとても素敵。
隣に建っていた工場では、目の前に流れる大持川に水車による動力による紐を作っていました。
戦時中は軍靴や落下傘の紐を作る軍需工場だったため、水路の上に工場が建って使うことを許されていたんだとか。
↑また後日書かせて頂きますが、富士市富士川にある重要文化財「古谿荘」を造った幕末の志士、宮内庁田中光顕から譲り受けたという葵の御紋の入った煙草入れが玄関に飾られていました。
「潤井川第3発電所」
次回のびお静岡東部版に続く、潤井川龍厳淵のたもとに建つ、旧富士製紙(現王子エフテックス)の水力発電所です。
潤井川の豊富な水量を利用して製紙機械を動かす動力にしていました。
大正14年(1925)に造られた建物はほとんど当時のまま、残念ながら機械は数年前に入れ替えてしまったようですが、それまでは機械も当時のものを使用していたそうです。
「王子エフテックス レンガ建造物」
明治23年(1890)に東京の富士製紙会社(現王子エフテックス)が潤井川流域の入山瀬に工場を建設し、富士市域で初めて洋紙の製造を行った会社です。
当時は機械を動かすために前記の水力発電を利用していました。
潤井川の水量が豊かで、紙の原料となる富士山麓の木材が手に入りやすい事も入山瀬が選ばれた理由です。
この設立により、馬車鉄道などの交通機関(JR身延線など)が次々と整えられていきました。
現在でも当時のレンガ造りの工場と倉庫が残っています。
特に「書類倉庫」はレンガ積みに木造トラス式の小屋組み構造という、建築当時の姿を残しています。
次回は、小雪の末候、橘始黄に投稿予定です。
文:酒井
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住まいマガジン「びお」の、静岡地方版ざます。
工務店のマクスから、家づくりの情報とは違った切り口で、「住まいと暮らしの視点」からローカルで旬な話題を発信してゆこうと思っておりますワン。
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