- 2012.05.23 水曜日
- 昨日ビックサイトに行った事を書きましたが、そちらで仕込んだネタを一題。
本日は塗り壁材、つまり左官材に関するお話しです。
近年の自然素材ブームによって、塗り壁仕上げ、というものが増えました。
漆喰や珪藻土といった言葉は、今や皆さんご存じですね。
でも、言葉は同じでも、みんな一緒じゃないのが困ったところです。
一番の違いは合成樹脂などの化学物質の含有。
でも、種類も用途も様々で、全てが悪とか言い出すと、おかしな事になります。
もちろん、入っていないですむならそれに越したことはありません。
まず、左官材から離れて、建材に利用されている化学物質全般を見てみますと、
【主原料として】
・塩化ビニール(原材料:ポリ塩化ビニル樹脂)
・ビニールクロスや水道管に利用される
・燃えると有毒ガス発生
【可塑剤として】
・塩化ビニールに添加して柔らかさを出す
・これが揮発するのでビニールクロスは劣化して硬くなると考えられている
・目や粘膜の刺激性のある、フタル酸-2-エチルヘキシル
・神経毒のある、リン酸トリクレジル(TCP)
【防カビ剤として】
・農薬の殺菌剤や除草剤の成分でもある
・吐き気やめまいを引き起こす、チアベンダゾール(TBZ)
・粘膜のただれやアレルギーの原因になる、オルトフェニルフェノール(OPP)
【安定剤として】
・塩化ビニールに添加し、熱や光で変色するのを防ぐ
・カドミウムや亜鉛などの金属石けん系
【発泡剤として】
・厚みや断熱性を持たせる、意匠的な模様を作るなどのために添加
・ADCA、TST、OBSHなど
【難燃剤として】
・目の痛みや疲労感の症状が出る、有機リン酸トリエステル類
【接着剤として】
・多くはホルムアルデヒドを原料とする
・ユリア樹脂(尿素樹脂)、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂など
・ホルムアルデヒドを含まないでんぷん系接着剤は、防腐剤が添加される
この他にも、油性塗料の溶剤、水性塗料の乳化剤を始め、カーペット、合板、石膏ボード、断熱材などなど、住宅の建材には実に様々な化学物質が使われています。
芳香剤やワックス、消臭剤などなど、言い出したらきりがありません。
建材には「☆☆☆☆」と書いてフォースターという基準があります。
上記の様々な化学物質に対し、それぞれに「指針」は有っても、フォースターとして「規制」されているのは、ホルマリンと殺虫剤のクロルフィリフォスだけです。
ある人には何ともなくても、ある人には深刻な健康被害をもたらす、この辺りがこの化学物質問題の難しさです。
シックハウスは、有る意味、自分で守るしか有りません。
(もちろん、そのお手伝いをするのは作り手の義務)
と、横道にかなりそれてしまいました。
話を戻しますと、塗り壁材にも、多くはこうした樹脂が、
・クラックが入らない様に…
・色持ちが良い様に…
・カビが生えない様に…
といった理由で使われているという事です。
一番は、クラック防止の樹脂。
私がお客様にお話し(時に、お見せ)するのは、合成樹脂が入った塗り壁材と入っていない自然素材の塗り壁材の二つのサンプルを、ライターで炙った時の匂い。
片方は土が焦げる匂い、片方はゴムの焼ける刺激臭。
ということです(どっちがどっち、は お分かりですね)。
施工時にも刺激臭があって目がチカチカするのと、しないのがあります(同上)。
で、前置きが長くなりましたが、
以前、会社のリフォーム工事で使った、ビニールクロスの上から塗れる自然素材の塗り壁材。
透明なビニールの上に塗ってみたものです。
比較のために、合成樹脂入りの塗り壁材も塗りますが、乾くと違いは分かりません。
※ここで言う合成樹脂とは、塗り壁材に通常含まれるアクリル樹脂系接着剤
を指します。本製品には、チューインガムなどに使われる酢酸ビニル樹脂
やメチルセルロースを微量に含むため、100%厳密に化学物質フリーではあ
りません。
これを、ひっくり替えしてビニール側から見ると…というのが上の写真。
めくれば一目瞭然。
つるつるテカテカ。
なるほど合資樹脂(上記の通りアクリル樹脂)というのはこういう物なんだと実感です。
確かにクラックは入りにくいでしょうけど。
ついでに、もう一つ驚き。
この塗り壁材、表面にこんな印刷が出来るそうで…。
これは驚き。
デジタルデータが有れば印刷してくれるそうなので、アイデアが広がりますよね!
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