避難所生活を想像してみる
本日より、七十二候は、寒露の次候で【菊花開:きくはなひらく】です。
名前の通り、菊の花が咲く頃、という意味ですね。
秋本番。
食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋、お勉強の秋、
ということで、今回のネタは、富士市の市民大学の講演会からです。
今回受講したのは、一般財団法人ダイバーシティー研究所代表理事の田村太郎氏による、
『誰も排除されない災害対応について』
という講演です。
そもそも、ダイバーシティーって?
小池都知事が就任時によく言ってましたよね。
「ダイバーみたいに潜水で潜る都市?」
「あぁ、就任早々豊洲の地下水が?」
みたいな…(笑)。
いえ、ダイバーシティーとは「多様性」のこと。
ちょうど一年前の「菊花開」では、性のダイバーシティー、LGBTについてでした。
災害対応におけるダイバーシティーとは…?
東日本大震災以降の災害時対応における主な課題として、
・要介護者の避難
・多様な住民が避難するには配慮にかける避難所
・仮設住宅から排除される被災者
・立場の弱い人ほど避難が長期化し、避難生活での被害が拡大
ということなんだそうです。
私が、一番考えさせられたのは、↑こちらの表。
母数の大きな東日本大震災と阪神大震災を見ると、全体の死者の内、14~16%の方は、地震そのものではなく、関連死である、という事実。
そして、熊本地震にあっては、死者の8割近くが災害関連死であるということです。
なぜ、地震そのものでは死なずにすんだのに、地震の後に、死ななければならなかったのか?
その最大の理由が「トイレ問題」のようです。
マラソンをやる人ならイメージしやすいかも。
レース前の仮設トイレの大渋滞。
しかも、災害時には、水が使えないので、プールで汲んだ水(避難所が学校が多いため)で流す。
汲み取りも満足に行えない。
汚いトイレになるのは必然。
トイレに行きたくないから水分を控える。
便秘がちで痔になる。
体内の血液もドロッとしやすく血栓が出来やすいので心不全や心筋梗塞・脳梗塞になりやすい。
水分が少ない食事で誤嚥(ごえん:食べ物が肺に入る)しやすく、肺炎になりやすい。
スフィア基準によると、日本の雑魚寝方式の避難所の生活は、難民キャンプよりも酷いレベルなんだそうです。
※スフィアプロジェクトとは、
人道支援活動を行う国際機関やNGOによる活動で、「災害や紛争の被災者には尊厳ある生活を営む権利があり、援助を受ける権利があり、あらゆる手段が尽くされるべきである」という理念に基づく活動で、「人道対応に関する最低基準(スフィア基準)」が定められてる。
だから若い人ほど、避難所をはなれ、家族単位で車で避難する。
実際、運動会でも場所取りが熾烈なのに、いざという時、地域の人が避難所に入りきれるわけがない。
結果、避難所は、お年寄りや病気の人ばかり。
対応ができない。
ドライバー不足で物資も運べない。
建築労働者不足で仮設住宅建築も間に合わない。
人手不足であらゆる工事が遅れ、インフラ整備も遅れる。
(実際、現在の日本の鉄道不通区間は500kmを超えているのだとか)
避難所では動ける若い手が不足し、個人からの物資は、仕分けも配分も追いつかないので、7割は廃棄処分なんだそう。
実際にリアルな災害現場で活躍する方だけあって、非常にリアルなお話でした。
私が個人的に、各地の地震のニュースを見る度に毎回恐ろしくなるのは、もし東南海連動地震が起きた時のこと。
大規模な被害が出た場合、東京も名古屋も、大都市ほど大変なことになるはず。
そんな時、間に挟まれた地方都市富士市など、東からも西からも、救援など期待できるのだろうか?
ということです。
実際、東南海連動地震が起きた場合、避難所生活は半年に及ぶと考えられているのだとか。
こちらのブログでは、宣伝チックな話にしたくはないのですが、建築に携わるものとして、
【絶対に地震で潰れない家】
これは永遠に追求してゆかなければならない、と思うのでした。
文:鈴木克彦
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住まいマガジン「びお」の、静岡地方版ざます。
工務店のマクスから、家づくりの情報とは違った切り口で、「住まいと暮らしの視点」からローカルで旬な話題を発信してゆこうと思っておりますワン。
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