- 2008.07.29 火曜日
- 昨日の続きです。
シロアリさんが自然の法則に則って、賢い家造りをされているところまではお話ししました。
では、人間様の住宅はどうでしょうか?
日本には、言うまでもなく四季があります。
四季を決めるのは太陽です。
太陽は、季節ごと、違った動きをするのはご存じの通りです(もちろん動いているのは地球の方ですがそれはおいといて…)。
昔の理科の時間を思い出して書いてみますと、こんなふうになります。
おさらいですが、静岡の付近では、春分の日と秋分の日に、昼と夜が同じになります。
つまり、日の出が6時、日没が18時ですね。
この春分の日と秋分の日に、太陽がちょうど真南に来たとき、これを南中時太陽高度と呼びますが、水平線から54℃の角度に太陽があります。
では、もう過ぎましたが、夏至の日はどうでしょう。
夏至の頃、もっとも昼の時間が長くなりますが、南中時太陽高度は78℃にもなります。
ほぼ脳天から照りつける太陽…熱いはずです。
反対に12月末の冬至の頃、夜が最も長くなりますが、南中時太陽高度は30℃しか有りません。
角度にして夏の半分以下です。
陰が長いのもうなずけます。
そして上の下手な図を見て頂くと分かりやすいのですが、太陽は、高さ以外にもう一つ大きな違いがあります。
それは、太陽が日の出から日没までに通るコース。
夏至の頃は、真東よりも30℃ほど北寄りから登り、真西より30℃ほど北寄りに沈みます。
そして、冬至の頃は、真東よりも30℃ほど南寄りから登り、真西より30℃ほど南寄りに沈みます。
ということはつまり、秋分の日から冬を通して春分の日までは、太陽は北側は通らないと言うことです。
説明が長くなりましたが、ここまで宜しいでしょうか?
そうすると、これを住宅に活かすにはどうすればよいでしょう。
正解は、南北に長い家よりも、東西に長い家の方が有利、と言うことになります。
なぜか?
まず、夏を考えましょう。
夏は、冬よりも、東西面の日差しが強いのは先程のご説明の通りです。
昨日のシロアリの家と同じで、
朝、低い位置から差し込む東からの日射は、建物の奧まで届き、グングン室温を上げてしまいます。
なので、出来るだけ東面を小さくします。
強烈な西日も同じ。
出来るだけ西面も小さくしたいですね。
すると、南面が大きくなりますが、先程の図で、夏は日中は太陽が高いところを通るので、屋根の庇を大きくすれば、太陽が室内に入ってこない。
帽子を目深にかぶるのと同じです。
上の住宅の絵がそうですね。
日中は庇のお陰で室内に日が入ってきません。
では冬はどうでしょう。
太陽が南側から昇って沈むので、東西面の日照が望めません。
その代わり、南面に暖かな太陽があります。
ここで、先程の家のように、もし屋根の庇が深くても、太陽はぐっと低いところを通るので、家の中にも暖かなお日様が届くわけです。
これが、日本の昔からの家の在り方です。
なるほどシロアリさんにも負けていません。
日本は同時に雨も多いので、この庇が深いというのは、壁からの雨漏りも防ぐ役目があり、非常に理にかなっているんですね。
最近、庇のない、四角い家が流行っています。
熱いし、ちょっとの雨でも吹っ掛けるので窓を開けておけない。
日本の昔からの知恵を甘く見ちゃぁいけないと思います。 - 桧の家 住宅のお話し | comments (0) | trackbacks (0)
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