- 2008.02.07 木曜日
- 「今週の木に関するブログはどこまで続くの?」
とのコメントを頂きましたが、「まだまだ続くよどこまでも」です。
と言うわけで、本日も引き続き材木のお話しです。
その前に、本日の更新が遅くなりましたのは、今回の、森に関するこれまでのブログに対し、貴重なご意見を頂きまして、その件について、色々私なりに考えをまとめておりまして、更新が遅くなりました。
どんな事か?
簡単に言いますと、
ただ単に、環境によい様な気がする、では、日本の木を使おう、森を守ろう、と言う話にはならない、
それでは、イメージ宣伝で「地元の木を使うと良い家が出きる」というのと変わらない、
と言うことです。
確かに、土地も人件費も高い日本において、成長の遅い木材を育てる、と言うことは、効率が悪いです。
単純に二酸化炭素という面から見れば、成長の早い南洋材の方がメリットがあるかも知れません。
それでは、家を建てる人間として、森とは、林業とは、環境とは、そう考えた場合にどうか?
総合的な答えは難しいのかも知れませんが、私なりの考えでは、
良質な国産材を作る
↓
それを用いて、良質で高耐久の住宅を造る
↓
住宅が長持ちし、建築時・解体時に出る二酸化炭素を減らせる
↓
良質な国産材への見直しと再評価が進む
↓
森が、環境が維持される
単純かも知れませんが、こうだと思います。
(いや、そこは違う、というご意見がございましたら、どうぞお伝え下さいませ)
と、前置きが長くなりましたが、今回は、その良質材を作るというお話しです。
今回も引き続き、山長商店さんからです。
手をかけ、愛情を込めて生産された木材は、今度は製材所へと運ばれます。
まずは、皮をむきます。
気分はまさに、お化け鉛筆削りです。
次に、角に切られます。
上の写真を見ると、レーザーで丸太の芯をとらえ、そこを中心にして角に落とされているのがお分かり頂ける(かしら?小さくて無理?)と思います。
そして、この大きな倉庫みたいな所に入れられます。
これ実は、巨大な乾燥機。
中はこんなになっています。
ここで木の水分をとばして乾かします。
そうしないと、木は乾いて行く際に、曲がったり、縮んだり、割れたりするので、建築後にそれが起きないためです。
ちなみに、桧はそうでもありませんが、杉は、時期によっては、自分の本来の体重と同じ重さの水分を体内に溜め込んでいる事もあり、乾燥するとぐっと軽くなります。
こうして乾燥されると、上記の通り、切った寸法より小さくなり、木も曲がっていますので、再度目標寸法になる様に、再度まっすぐになる様に削ります。
はぃ、材木の完成!
ではありません。
こっからが大変、そして山長さんが非常にこだわっている行程に入ります。
こんな機械を通して検査します。
赤い部分が検査しているところです。
ここで、表面含水率と言って、木がどれくらい乾いているか、を測定しています(機械的な理屈は疎いのですが、多分マイクロ波で測定していると思います)。
次に、乾燥と並んで重要な強度。
木材の強度で一番よく使われる指標は、「ヤング係数」という数値です。
ヤング係数とは、簡単に言えば、木のたわみやすさ(力がかかった時の曲がりやすさ)を言います。
横にして、上から力をかけた時、ヤング係数が低ければ、バキッと折れやすい、と言うイメージです。
(↓これがそれをする機械)
でも、全部この機械で折っていたら、一本も商品が出来ませんので、非破壊の検査を行います。
それがこれ。
このカッケを調べるハンマーの様なもので、コンッと木口を叩き、その音でヤング係数を測定します。
こんな感じで、全て機械制御です。
こうして、含水率・ヤング係数の両方が基準に合格した製材のみ合格となり、刻印が印刷されます。
上の写真ですと、杉材で、含水率20%以下、ヤング係数70と言うことになります。
ちなみにこの数字は、と言うと、出現割合から見ると、全体の約1/4。
7割以上がヤング係数90以上との事です。
詳しい数字を並べても分かりにくくなるだけなので差し控えますが、杉・桧・松など、木によって、ヤング係数毎の、圧縮・引っ張り・せん断と言った強度は異なり、一般に梁として使われる米杉はもちろん、集成材と比較しても、決してひけを取らない数字です。
よく、「集成材は無垢の木より強い」と言われますが、きちんと品質管理された良質材は、一概に弱い、と言うのは間違い!
と言うのがよく分かりました。
拙い文章で、だらだら長いばかりで、言いたいことを上手く伝えられないのですが、私が申し上げたいのは、外国産材や、集成材に負けない良質な国産材もあるんです!
と言うことです。
そして、それを正当に評価し、十分性能を発揮できる様に利用することで、森を守り、環境も守り、家族の住環境を守ることも出来る!
と言うことです。
一生懸命育てている人たちが居ました。
一生懸命作っている人たちが居ました。
そして、彼らは皆、手を休めて「こんにちは」と挨拶してくれました。
それだけ、良いものを誇りを持って作っている、だからそのことを見て欲しい・知って欲しい、そう言う想いが強いんだ、そう感じたのでした。
その想い少しでもお伝えする手助けをしたい、と文が長くなってしまいました。
そんな彼らの思いに答えられる様な家を造ろう、そう思った和歌山の旅でした。 - 桧の家 住宅のお話し | comments (2) | trackbacks (0)
Comments
まだまだ続くよ どこまでもです。
ともかく、本物は、本物。
本物を越えるものは、・・・?
それこそ、超本物。
まだ見ぬ境地を、見せてください。