- 2007.10.18 木曜日
- 静岡県三島市のティンバーフレーム住宅の現場は、そろそろ石膏ボードが張り終わり、大工仕事ももうすぐ完了です。
石膏ボードは通常「さぶろく版」と呼ぶ、3尺×6尺(91cm×182cm)の物を使いますが、それだと、壁に貼る際に、ジョイントが出来ます。
つまり、室内の天井の高さは、2.4〜2.6m位が通常ですので、さぶろく版だと、縦にしても、1.8mしかなく、残り部分を継ぎ足さないといけないという訳です。
継いでも良いのですが、継ぐ場合、ジョイント部分に下地を付けてやらないと、クロスでも塗り壁でも、その部分から下地の段差が出てきます。
そこで、長尺と言って、長さが8尺(2.4m)だったり、9尺(2.7m)の物を使っています。
するとこの様に、上まで一枚でいけます。
(左側の緑に見える部分は防湿フィルムです)
でも、重いので、「少し」作業が大変で、
「少し」値段が高くなります。
でも、この「少し」の積み重ねで、家の善し悪しって決まるんですね。
さて、この石膏ボードですが、何から出来ているかと申しますと、その字の通り、石膏です。
石膏を板状に成型し、両面を紙でサンドウィッチ状に挟んだ物です。
石膏は、科学的に言うと硫酸カルシウムの水和物で、重量比2割程度の結晶水が含まれ、これが炎や熱により、気化熱でボード自体の熱を下げるので、火災に非常に強い性質があります。
しかも安く、比較的加工が容易で、有る程度丈夫で、断熱・防音に優れる、等の理由により、建築の壁の内装下地材の、ほぼ全てと言っていいほどの割合で使われています。
しかし、この石膏ボード、廃棄物としては、実はかなり厄介者なんですね。
そのまま埋めたりすると、紙と石膏を硫酸塩還元細菌が分解して、硫化水素を出すんです。
あのヘドロに発生する臭いガスです。
もちろん有毒です。
新築で切り出した端材はもちろん、リフォームで解体したこの石膏ボードは、紙と石膏を分離することが困難で、燃えないので焼却処分も出来ず、多くの処理費用がかかり、結果不法投棄が後を絶ちません。
最近では、ホルマリンを吸着する石膏ボードなる物が出ていますが、そもそも石膏ボード自体に紙と石膏をくっつけるノリが使われている訳ですし、石膏ボードに、石油製品のビニールクロスを合成ノリを使って貼る訳ですから、その効果の程はどうなんでしょうか…?
かなり眉唾もんです。
かといって、この石膏ボードの代替え品となると、無いのが現状です。
ほとんどの壁の建材は、この石膏ボードとセットで防火認定を取得しているためです。
また、この石膏、石膏ボードメーカーの宣伝を見ると、「火力発電所の排煙脱硫装置などから副産する化学石膏等を配合し…」って書いてあります。
つまり、火力発電から出るゴミで出来てるんです。
こりゃ当分石膏ボードは無くなりそうにないですね。
ならば、石膏ボードの上の仕上げ材、つまり私たちが生活上さらされる部分には、自然素材の漆喰などで仕上げたいですね。
もし石膏ボードを使いたくないなら…
マクスの伝統工法「板倉造り工法」です。
↑来週から工事始まりますのでお楽しみに! - ティンバーフレーム 建築現場より | comments (0) | trackbacks (0)
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