- 2011.04.13 水曜日
- 沼津市のリノベーション現場です。
お化粧直しのリフォームではなく、耐震性能&断熱性能を、建てた時よりも上げるからリノベーションです。
ホウ素系防腐防蟻剤「エコボロンPRO」による防蟻工事が終わり、いよいよ本丸の耐震補強工事に入っています。
大工が筋交い(すじかい)を新設しています。
築30〜40年以上前の古い住宅では、筋交いはあっても、
・とにかく量が少ない
・材が細い(筋交いは45×90は最低欲しいが、30×90が一般的)
・材への配慮が無い(一番力がかかる中央部に大きな節があったりする)
・釘一本だけで留めてある(専用金物で留めないと簡単に外れる)
・バランスが悪い(明るさ重視で南東面が大開口、水回りが並んで北側が窓の連続など)
といったことが、ごくごく一般的に見られます。
元々日本家屋は木舞壁(こまいかべ)と言って、竹で編んだ骨組みに土を塗って仕上げる壁だったのです。
これが、高度成長期に入り、大量生産・短納期が大命題になり、
現在の筋交いで地震に耐える「新在来」と呼ばれる工法が出来ました。
そう、現在ツーバイフォー工法に対して在来工法と呼ばれる木造住宅は、柱と梁で組むという一点のみで「在来」工法と呼ばれますが、
【筋交いを取り付けて石膏ボードを貼ってビニールクロスで終わり】
というのは、在来工法と呼ぶには、実は、まだ非常に日が浅い工法なのです。
ですから、当時、筋交いをどんな材料で、どれくらいバランス良く配置し、どの様に固定するか、そもそもどれくらい必要なのか、これらは全て、大工の「感」のみに頼っていたのです。
現在は、必要面積から、どれくらいの量(取付箇所)を、どれくらいのバランスで取り付けると、これくらいの強度、というのを、パソコンで求めることが出来ます。
これが耐震診断・耐震計画・耐震補強です。
ちなみにこちらは、その筋交いの脚部。
大きい方が筋交いの固定金物。
小さい方は「柱抜け防止金物」です。
抜け防止とは…?
以前作った模型でご説明致します。
まずは筋交いの意味と働きをご説明致します。
下記の模型が、家の一部だと思って下さい。
ここに、写真右から地震の力(私の手)が加わると…
この様にグニャッとなります。
家がこうなってはまずいので、ここに筋交いを入れます。
つまりつっかえ棒です。
そうすると、地震に耐えてくれます。
しかし、この状態で反対側(左)から力が加わると…
またグニャッとなっちゃいます。
つまり、筋交いには「向き」があり、それをバランス良く配置する事が肝要となります。
限られた壁で、筋交いをバランス良く配置するためと、家をより地震に強くするために、下の写真のように筋交いをバッテン(クロス)で入れる場所もあります。
そして、この様に、筋交いを入れてゆき、壁を頑丈にすればするほど、「引き抜き力」という新しい力が発生してきます。
どういう事かと申しますと、上の写真の柱の端部をアップで見ると…
この様に、地震の力によって柱の端部が持ち上げられて「引き抜かれようとしている」事が分かります。
これが「引き抜き力」です。
この引き抜き力は、筋交いの配置や周囲の状況で、大きく変わるため、力のかかり度合いによって、取り付ける金物が細かく決められています。
さて、筋交いの意味が分かったところで現場に戻りましょう。
新築の施工時には壁が無いので、向こう側から楽々工事出来る施工も、こういう場所は大変。
先に筋交いに取り付けておいてから、長い電動ドライバーのビットを付けて、柱に固定します。
また、土台とコンクリートの基礎も、しっかり緊結されていないと、この筋交いが力を発揮しませんので、
この様に、アンカーボルトを増設。
さらに、
土台の変形を防ぐ土台火打ち金物を取付。
アンカーボルトが沢山入っていれば、この火打ち金物はあまり効果がありませんが、昔の家はそもそもアンカーが少なくて細いので、こういう金物も数字で表れないながらも効果を期待出来ると思います。
耐震補強はまだ続きますが、今回のブログ分を早速動画でチェック。
長いブログにお付き合い、有り難うございました。
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