- 2009.06.23 火曜日
- 昨日は、駿河待庵から、島根の出張の事を少し書きましたが、その続きです。
茶室を見ると、狭さ、天井の低さ、暗さ、を考えさせられる、と昨日書きましたが、それらに注目しながらの出張でもあり、深く考えさせられる出張でもあったのでした。
それは順番に書いて行くとして、本日は、松江市の武家屋敷をご紹介します。
「社長は出張に行って遊んでばかりいる」と思うかも知れませんが、講習や勉強会のついでに、時間を作って走りながら見学しているのです…(汗)。
と、社員に言い訳はおいといて、この武家屋敷は、江戸初期から松江藩の中級武士の屋敷だった所です。
火事の後再建され、275年前の姿をそのまま見ることが出来る、松江市の文化財だそうです。
さて、最初の写真は、客を迎える座敷。
注目の天井ですが、高いです。
目見当で2.7〜2.8m。
これは、豪華に見せるというより、斬り合いになった時に刀を振り回せるように、との説明がありました。
裏に回る前に、この屋敷の間取りを掲載しておきます。
NPO法人松江ツーリズム研究会のパンフレットより掲載させていただきます。
冒頭の写真は、母屋左下の「座敷」です。
ちなみに一つ脱線すると、座敷の後、つまり左側にある「雪隠」は、トイレですね。
雪隠と書いて「せっちん」と読みますが、その由来は諸説有るようです。
この写真は、昨日の明々庵の入口の門で、
その門にある雪隠。
かがまないと入れないような小さな戸ですが、しつらえはかなり立派。
「雪隠大工」というと、トイレしか出来ない腕の悪い大工の意ですが、いやいやこの雪隠は腕の悪い大工には出来ませんね。
と、いつもの様に脱線しすなので武家屋敷に戻りましょう。
平面図で池のある方の、庭にまわってきました。
特別豪華な造りではないのですが、何とも言えず落ち着きます。
庭に面する深〜い軒、やはりこれは日本の住宅のクラッシックデザインだということを実感します。
こんな部屋にいたら、梅雨の雨さえ心地良いでしょうね。
こちらは当主の居間。
注目は、長押(なげし)です。
分かりにくい写真で恐縮ですが、指さしている所を見ると、長押が耳の付いた材木、つまり、小経木の端の方から取った材料なので、四角く取れずに丸い材料であることが分かります。
桂離宮では、わざとこの丸い長押をつかっていますが、丸い部分と平らな部分の割合が、材料の本と末で同じだったりと、実は凄く選りぬいた材料なのですが、この屋敷では、節や耳の形状から、ただの安い材料だと分かります。
公の場である客間が節のない柾目の長押であるのに対し、私の場である裏の部屋の方は、実に質素に出来ており、公私の別を厳しく分けていたことがうかがえます。
奥の方にまわって行くと、長押もなくなります。
茶の間。
間取りから見ると、庭の方から入るのでしょうが、庭へまわる道は台所や納戸があり、裏の作業用の導線といった感じ。
客は呼ばない茶室なのか…?
北側の綺麗な庭を眺めることが出来て、一番良い場所にあると思うのですが…。
すいません、謎です。
こちらは茶の間と納戸の間の小間。
い、いかん、狭くて天井が低い所にばかり目が行く…。
こういう小さなスペースにこもりたくなるのは、
私が恥ずかしがり屋だからか?
引っ込み思案だからか?
それとも太古からの穴ぐら回帰なのか…?
と、狭い、低い、暗い、の考察は続くのですが、今回の出張で一番楽しみにしていた、建築家の永田昌民先生設計の住宅の見学と、永田先生とのお話で、ずし〜んとその答のような物を頂きました。
長くなるのでそれはまた次の機会に。
先読みしたい方は、マクスでも加盟している『町の工務店ネット』の『住まいネット新聞びお』の『永田昌民さんの一番新しい仕事』の記事をご覧下さいませ。
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Comments
いやぁ〜っ、深かですね〜っ。
いただいたコメントを元にネットで調べまくりました。
まだまだ勉強です。
砂雪隠ですか。使わない雪隠。飾り物ですね。
関連して思い出しましたが、
松平不昧公が憧憬した小堀遠州が京都の大徳寺、
孤蓬庵に茶席、忘筌を設計してます。
この忘筌が寛政年間に消失して、不昧公が
設計図どうりに再建しました。
忘筌は遠州設計の明かり障子が有名ですが
不昧公はこの忘筌に範をとって明々庵を
建てたのかな?と思案します。
遠州は数奇屋普請の完成者でもあり、忘筌の図面を
たどれば砂雪隠の出所が見えてきそうな気がします。
茶室は奥が深いですね。
コメント頂く前にこちらからコメントです…(笑)。
今回の掲載した「明々庵」の雪隠は、砂雪隠。
砂雪隠は、実際には使わないトイレで、
「トイレをここまで綺麗にしていますよという客人への心遣いを見せるためのトイレ」
と言われますが、未熟な私には、
わざわざ使わないトイレを作ってそれを見てもらうという行為が、客人への心遣いなのか???
と理解不能です。
人生経験豊富な茶人のケン坊様はいかがでしょう?