- 2009.05.22 金曜日
- 以前ご紹介した富士市の新築現場が、上棟以来更新しておりませんでしたので、続きをご紹介いたします。
といっても、もう一回上棟の際のお話しです。
最近は、ほとんどの木造住宅は、プレカットと呼ばれる、工場での機械加工になりました。
大工が何ヶ月もかけてやる仕事を半日で終わらせるのですから、コスト面から見て仕方のない部分かと思います。
もちろん、短ホゾ(柱が梁に刺さる部分の凸凹の凸の方)しか出来ないというマイナス点は大きいのですが。
その分、法律では、金物の使用が非常に強化され、構造用合板で固められる家が耐震上有利になる、というのはもはや、あがないようのない時代の流れで、文化財級の木造建築物を合板で耐震補強、ということさえなされています(勿論批判の声もあがっていますが)。
ただ、法律である以上、それを守ることも大切。
そして、その上で、法律のせいにしない、責任ある物造り、が大切かと思います。
さて、また話が逸れそうな流れなので元に戻しますと、プレカットと呼ばれる機械加工も、万能ではありません。
特に、斜めに木が組まさる部分は苦手です。
苦手というより、プログラミングが面倒で効率が悪いのでやらない、が正解でしょう。
そう言う部分は大工がこしらえていましたが、最近はそんな手仕事が出来る大工が減ってきたからか、斜めの部分も機械化が進んでいます。
写真は、ポーチの屋根の梁ですが、斜めに登って取り付く梁なので、登り梁と呼ばれます。
ちょっと前までは登り梁は、機械加工はやらないか、結構高いオプションでしたが、西院では普通にやるようになりました。
でも、この登り梁に、さらに斜めに梁を入れたい、と言えば、もう無理です。
斜めに斜めが合わさると面倒だからですね。
差し金で墨を付けて、
斜めに鋸を入れて、
斜めに登りながら梁を入れます。
これで強度が取れます。
こういう部分は、手仕事の質が落ちないように、機械化しない方が良いかも知れませんね。
もっとも、以前ご紹介した、丸太と丸太が斜めに組み合わさるような鳥居では、
大工の独壇場。
機械化の余地はありません。
こういう技術は無くしちゃいけない部分です。
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Comments
今や大工道具はどんどん機械化されています。
機械までいかなくても、鋸(のこぎり)だけでなく、鉋(かんな)でさえも替え刃式が出回っています。
会社にはありますが、釿(ちょうな)・突鑿(つきのみ)・ハンドル式の錐(きり)・木製の墨壺、こういう道具は持っていない大工も多く、いずれ見るのも珍しくなってしまうかも…。
日本の大切な技術・木の文化なのですが。
我々の場合、特に包丁を使う仕事は、手仕事に限ります。