

- 2008.05.01 木曜日
- 先日、仕事の打合せで来社した有る営業マンとの話の中で、
「社長の所は無垢の材料にこだわっているようですが、集成材は使わないんですか?」
と質問をされました。
「絶対に使わないと言うわけではなく、作業場など、どうしても広いスペースを作りたい場合や、駐車スペースなど、どうしても広い間口が必要な場合など、やむを得ず使う時はもちろんある」
と言ったようなことを答えたんですが、話しているうちに、いやに集成材について詳しいこの営業マン、
『こやつ何物じゃ?』
と思いまして、聞いた所、前職が集成材のノリに関する仕事をしていたとの事。
なるほど。
で、私はここぞとばかり、色々質問攻めにしちゃいました。
ご参考になればと思いまして、ちょっと書いてみます。
たしか以前も書いたのですが、集成材のノリには、
「白ノリ」と呼ばれる、イソシアネート系接着剤と、
「黒ノリ」と呼ばれる、レゾルシノール系接着剤、
に大別されます。
元々の歴史は、黒ノリの方が長く、構造用集成材としての実績も古いです。
接着剤の性能も高いため、大断面集成材は、全てこの黒ノリで製造されています。
よく見かける、体育館や室内プールの木造の屋根は、この黒ノリで製造された大断面集成材で出来ていますし、マクスでも以前取り組んでいたリゾート建築のアーチハウスの構造材なども同じです。
対して白ノリは、接着剤が硬化すると透明になるため、木肌が綺麗に見える事から、ここ数年で急速に普及しました。
水溶性の溶剤を用いるため、シックハウスの原因の揮発性有機物質の放出の危険が少ないことも普及の要因と言われています。
でも何より、コスト的に、黒ノリより安くできる、と言うのも普及の要因でしょう。
コスト至上主義が今の日本の建築の現実です。
で、営業マンに聞いた所によりますと、白ノリは、黒ノリに比べて硬化時間が短い為に集成材の製造管理が難しく、かなりのノウハウが必要なんだそうです。
上記の様な理由で、需要が急速に拡大したため、技術を伴わないまま製造に乗り出すメーカーが国内外で増加したことが大きな問題との事。
木材と木材を接着する面の削り具合・接着剤で重ね合わせた後の圧着用のプレス機、これらは全て黒ノリと白ノリでは本来異なるとのことです。
そもそも、JAS規格では、「集成材は、一切の剥離があってはならない」とは書いてありません。
つまりは、たとえ剥離しても、裁判で訴訟が出来ない可能性が高いわけです。
だから、
「集成材は公共建築物で多くの実績があるので安心です」
「高い品質管理で性能が一定しているので安心です」
と言う営業トークを安易に信じてはいけないなと思うわけです。
実際、冒頭の営業マンが言った興味深い一言…
「前職にあったときなら、「大丈夫です、絶対に剥がれません」と言いましたけど、今は、う〜ん、って感じですね。数年前家を建てたんですけど、集成材は使いませんでした」
営業マンは、自分に都合の良い様に言うんですね〜。
仕事だから仕方がないのかも知れませんけど。
私は、
「やっぱり無垢が良い」
と言いますが、
「無垢は、割れるし、反るし、狂います」
とも言います。
それでも、無垢が良い、そう言う思いを共感して頂けるお客様を大切にして行かなければと思うのでした。
- 桧の家 住宅のお話し | comments (2) | trackbacks (0)
Comments
訳あって最初に建築費をケチった我が家の床は、小僧どもがおもちゃのバイクで走り回って傷だらけ…
修復不可能です(涙)
うちの床材は無垢っす。
大工がどうしても譲らなくて(笑)
後年バリアフリーの工事したとき
無垢の床を削って
その上にもう一枚無垢の床材を入れたんですね。
削った床は、古くなった学校の床みたいでした。
床は贅沢させてもらってます〜
割れもそりもしないし
「みしっ」とも音がしないですよ