- 2008.04.21 月曜日
- お早うございます。
今週一週間もよろしくお願いします!
さて、現場監督日記で宮川が薪ストーブの薪について触れておりますので、補足の意味で書かせて頂きます。
薪ストーブって言うくらいですから、燃料は薪です。
ただ、薪=木なら何でもOK、と言うわけでもありません。
ストーブの説明書を見ると、
「HARD-WOOD ONLY」
と書かれています。
ようは、広葉樹しか燃さないでね、針葉樹はやめてね、と言う事です。
何故でしょうか?
針葉樹を燃さないで、と言う理由は、
・ヤニ(脂)成分で煙突内部が汚れる(煤がくっつく)
・燃焼温度が高く、ストーブが痛む
この二つに尽きます。
ヤニについては、いわゆるタール分が煙突内部に着く事が問題です。
煙突内部に着いたタール分がどんどん増え、これを放置すると、血管が詰まるのと同じで燃焼がスムーズに行かないばかりか、こびりついたタール分が燃える【煙道火災】という恐ろしい現象が起こります。
煙道火災が起こると、煙突から火が出るので、煙突自体も非常に高温となり、煙突と接する壁や天井も燃える危険が出て来ます。
実際、この煙道火災による住宅火災は、日本で毎年1.2件起こっているというのを聞いた事があります。
ただし、施工上・防火上の正しい施工をした上で、煙突掃除などのメンテナンスをしっかりすれば、安全な事は言うまでもありません。
また、このタール分の生成は、樹種による違い(脂の多少)よりもむしろ、使用する木材がいかに乾いているかどうかの方が重要になります。
乾いていない木を燃焼させるほど、タール分の発生が多くなります。
煙突を曲げずに真っ直ぐ出す事でも、タール分の発生を減らす事が出来ます。
(冷やされるとタール分が出来るので、煙を冷やさずに排出させるためです)
この意味では、建築材料は針葉樹がメインなのですが、乾燥しているので良いですね。
もう一点、燃焼温度ですが、広葉樹の燃焼帯は、約400℃。
そして、針葉樹の燃焼帯は約600℃です。
薪ストーブの推奨燃焼温度は広葉樹の燃焼帯と同じ400℃です。
薪ストーブには、鉄製(ぶ厚い鉄板を曲げて整形)と鋳鉄(溶かした鉄を型に入れて作る)があります。
鋳鉄のストーブは鉄製のストーブに比べ、高温による鉄の膨張に弱く、600℃でガンガン燃し続けると割れる危険があります。
この意味では、鉄製のストーブは、鋳鉄製よりも、本体の熱膨張に対する追随性があります。
というわけで、本来は広葉樹を燃すべきなのですが、昔の様に、家の裏山に雑木林があって、楢や櫟の薪がふんだんに手に入る、と言う時代ではありませんので、比較的手に入りやすい針葉樹でも、わりと燃しやすい、鉄製のストーブ、つまり、カナダのリージェンシーや、オーストラリアのピキャン、と言ったストーブをお勧めしています。
ま、へりくつをこねましたが、宮川が書いている通り、暖かさを得るためには、あまり贅沢を言わずに何でも燃しちゃって、シーズンオフには煙突掃除、と言う事ですね。
いかがでしたでしょうか?
ご不明な点はおたずね下さいね。
薪ストーブに関しては、「オールアバウト」にコラムもよせております。
良かったらこちらでご覧下さい。
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