- 2012.05.30 水曜日
- 一般に、運転・保守・管理に必要な金額をランニングコスト、
導入(購入)に必要な金額をイニシャルコストと言いますね。
また最近では、作ってから捨てられるまでのトータルでの費用を、ライフサイクルコストという面から考えることも一般的になってきました。
これらは製造現場での考え方ですが、住宅においても、「ライフサイクルカーボンマイナス」のように、家の一生において、製造から解体まで含めて二酸化炭素の排出量を検討したりするようになりました。
今回は難しいお話しではなく、家を建ててから、住まい手が、家のメンテナンスにかかる費用を考えてみましょう。
家を作るとき、リフォームするとき、良い物を選べばコストは上がります。
つまり、イニシャルコストが高くなります。
はぃ、これ、我が家の外壁。
築9年、外壁は窯業系サイディング。
画面中央、サイディングとサイディングの間、つまり、サイディングの板と板の間、ここは変性シリコンという樹脂でシーリング(防水処理)されていますが、見事に割れています。
窯業系サイディングとは、セメントと繊維を材料にして作られた外装材。
成型が容易で、塗り壁調・レンガ調・木目調などなど、意匠が自由自在で、柄(模様・色目)も、簡単に言えばインクジェットプリンターで印刷出来るので、実にカラフルでバリエーションが多く、何よりコストが安い。
実に、新築住宅の7割に採用されているそうです。
写真の様に、板と板の間を、変性シリコンで防水処理して納めます。
サイディングも、ハイグレードの商品はより厚くなり、板と板の間が雄と雌の実(さね)加工がされていて、シーリングレスの物が増えてきましたが、やはり肝心の窓廻りなど、シーリングに頼らざるを得ない部分が多々あります。
ちょっと専門的になりますが、シーリングは、下の図の様に、板と板のこぐち(黄色の点部分)にのみ接着剤を用いて施工されなければならず、奥にも接着される三点シールは、シールが切れるのでダメな施工です。
もちろん、私が自分で監督しましたからこの辺は完璧です。
それでも、紫外線劣化には耐えられません。
同じ家でも、あまり日が当たらないところは、切れていません。
変成シリコンの色も、茶色なのが分かりますね。
でも、劣化部分はこの通り。
色は落ち、弾力性はなくなり、チョーキングと言いまして、表面がチョーク状の粉になる様に劣化します。
こうなると当然防水性はありませんので、補修が必要です。
サイディングの板自体も紫外線で劣化します。
表面の透明の保護塗装が劣化しますと、その下の模様の塗膜が劣化しますので、二度と○○調の表情はなくなり、単色でべたっと塗装するしかなくなります。
ですから、10年を目安に、
足場を掛け、
洗浄し、
カッターを入れてシーリングを綺麗に剥がし、
養生をし、
プライマーを塗り、
シーリングを打ち直し、
サイディングのトップコートを塗り…
ということをしなければなりません。
簡単に百万以上の工事となります。
しかも10年ごと…。
ALCであれば、シール材がウレタンで、さらにその上から塗装されるので、メンテナンス周期はグッと長くなります。
漆喰なら、漆喰自体は劣化しないし、シール箇所も表面に出ていないので、さらにググググーっと長くなります。
みな、建設時のコスト、イニシャルコストは違います。
でも、ランニングコストも違います。
トータルで考える必要がありますね。
当時建築費を出来るだけ抑えた我が家。
「今年は塗り替えとシーリングの打ち直しをしたいな〜」
と大蔵大臣に相談したところ、
「そのお金はどこにあるのですか?」
と逆に聞かれてしまいました。
国会なら、国債を発行するか消費税を上げれば簡単でしょうが、大蔵大臣が強固な権限を持つ我が家では、建設大臣の私がヘルメットをして梯子を掛けて、自ら補修工事をすることになるでしょう。
材料代と燃料費(おビール)だけは、大蔵大臣に陳情して死守します。
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- リフォームのお話 | comments (3) | trackbacks (0)
Comments
御意!
相手を批判したら、批判は自分にかかってくるね。
バイバイゲームやねバイ。
返信不要(笑)
住宅業界は、「オラが正しい」「アレは間違い」と、自分最高の他社批判ばかりで、業者自身もそんなものに振り回されておりますバイ。
本来、何事にもメリットとデメリットがあって、唯一絶対正しい物なんてあり得ないですバイ。
私はそれを正しく正直に伝え様としないところが住宅業界の悪いところだと思いますバイ。
住宅は長い目で見らにゃいかんですね。
勉強しますバイ。