- 2012.04.24 火曜日
- 昨日は、吉野の山の事を書きました。
材木のことを語る時、その昔、川を流して材木を集材したことから、それぞれの場面で
「川上」「川下」と言った言葉をよく使います。
昨日の実際の木を育てている森は「川上」。
お話しはだんだんと川下(つまり実際に材が利用される消費者側)の方へと続いて行きます。
本日は材木の市場をのぞいてみましょう。
こちらは吉野材の材木市場。
これは桧。
昨日くどくどと書いたように、恐ろしいほど目の詰んだ桧です。
こんな桧、見たことありません。
まるで、以前ご紹介した天然林のウエスタンレッドシーダーのようです。
小経木の杉の写真を忘れましたが、こちらは太い杉の木。
太いと言っても、年輪は、す〜んごく緻密。
数えられませんでしたが、200年近く経っています。
これでも間伐材というのだから恐ろしくなります。
ある方は、この様に感想を書いています。
「それにしても、やはり吉野の木は高齢林の厚みにおいて、段違いのものがありました。
これが本当の木だとすると、ほかのところは「草」なのではないか、
と思えるほど、圧倒的なものがあります。」
…言い過ぎです(笑)。
でも、確かに、それほど圧倒的でした。
製材された材料の所へ場所を移します。
こちらは桧です。
…が、何とも異質に感じます。この違和感は何???
そう、まるで印刷された木目のように、均一に通っており、節など一つも無い、いわば「綺麗すぎる」木目の桧とでも言いましょうか。
恥ずかしながら知らなかったのですが、吉野は、高級木材の地であると同時に、非常に高い集成材の技術を誇る地でもあったのでした。
それは、この様な長良質な木目の材料を薄くスライスして、集成材を作ってきた歴史によります。
写真の桧は、全て集成材用の木材なんだそうです。
別の市場に来ました。
こちらは先ほどの市場に比べ、「ややランクの落ちる材を扱うところ」とのことですが…
こんなに長い、目の通った四方無地(四面とも節が無い)の桁など見たことありませんから〜っ!
今度は杉。
中心部の赤身の部分のみから製材された「赤杉」の造作材(和室の廻縁や天井押縁用)。
「この二つ、値段が三倍も違いまんねん!」(大音量)
写真奥、熱く、熱く、説明をしてくれているのは、昨日の清光林業の山守でもある、松尾木材の松尾専務。
「全然目が違いまっしゃろぉ!」(大音量)
写真が小さくて分かりづらいですが、確かに左側の木目は、右側の2,3倍木目が細かい。
確かにその通りです。
その通りなんですが、ここで、需要と供給のお話しが出てきます。
現在の日本の住宅において、純和風の数寄屋建築など、本当に珍しい様式となりました。
それどころか、和室すらないのがごく当たり前。
和室はあっても、畳があるだけで、完成すれば、無垢の木など、どこにも見えない家造りが主流となっています。
でも、吉野材に石膏ボードを貼って見えなくしてしまう何て、やっぱり考えられない。
だから、言葉は悪いですが、マニアックとでも言うような製品が作り続けられている…。
こちらは、赤杉の一枚板。
こちらの天井材、値段見えますか?
「坪10万円也」
8畳間に石膏ボードとビニールクロスなら、3万円もあれば天井が出来ますが、この板を張ろうと思ったら50万以上かかります。
これでも値段は中間クラスで、中には坪30万なんて板もあります。
どうです?お宅の和室の天井にいかがですか?
…私は無理です。
どの材料も、埃をかぶっていました。
やっぱり売れないんです。
じゃぁ、どうすれば良いんだ〜っ?
お話しは「川下」へと続きます。
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