

- 2011.03.23 水曜日
- 富士宮震源の地震から一週間が経ちました。
補修工事のお問い合せで会社も一時大混乱しましたが、何とか平静を取り戻しました。
備忘録を兼ね、書いておきますと、今回の被害は、富士宮市と、会社のある富士市北部の大淵地区に集中しており、被害の種類は、
・古い瓦屋根の棟が崩れる被害
・施工不良による新しい家の棟・平瓦が崩れる被害
・鉄骨造のスーパーなどの軽天の脱落
・古いモルタル壁のヒビ割れ
・古いブロック壁の損傷
が多く、特に、と言うか圧倒的に瓦の被害であり、住宅の倒壊・半倒壊は無かったようです。
今の瓦屋根は、棟の「のし瓦」も、ステンレスや銅の針金で固定した上で漆喰で固められていますので、そういう工法を取っていなかった時代の瓦、施工費をケチってそうしなかった新しい瓦、を地震は狙い撃ちしました。
マクス関係の被害でも、やはりリフォームでお知り合いになったお客様の、この古い瓦被害が圧倒的です。
お陰様で、マクス工事分の、【リフォームさせていただいた屋根】と、【マクスで新築の家】に関しましては、軽微な物を含めて被害数「2件」だけでした。
1件は、ユニットバスのエプロン(浴槽の立ち上がり部分の点検用に外せる蓋)の一部にヒビが入りました。
これは地震か劣化か、原因が不明ですが、現在メーカーに部品発送依頼中。
メーカーが混乱しているので納期が分かりませんが、お風呂の使用には差し支えないので、取り敢えず一安心です。
もう一件は、正直に告白すれば、お恥ずかしながらマクスの事務所でして、
・ビニールクロスのヒビ割れ
・漆喰のヘアークラック
・タイル目地の破損
・外壁サイディングの角欠け
各数箇所、が有りました。
築二十数年とは言え、紺屋の白袴と言って笑って誤魔化せないです。
ただ、この事務所、新築移転の際、会長が通常業務終了後、大工と一緒に旧事務所から通い、深夜まで工事を続け、自前で完成させた経緯がありまして、超低予算の事務所でして、そこを地震はきっちり見ていた様でございます。
やはり、耐震性・耐久性は、デザイン・機能性に優先して工事しなければいけません。
反省を込めて告白のご報告でした。
あと、付け加えておきますと、今回の地震で、
「震度6強や7でも、これくらいの被害ですむんだ〜」
とは、絶対に思ってはいけないと言うことです。
筑波大学の境有紀教授(地震防災工学)の発表によれば、東日本大震災では、津波による建物被害は甚大でも、揺れそのものによる建物被害が少なかった可能性が高いが、それは、たまたま建物に被害をもたらす、周期1〜2秒の波が弱かったためであるらしいのです。
今回、震度7を記録した宮城県栗原市や、震度6強だった仙台市で観測された周期1〜2秒の波の強さは、約30万棟が全半壊した阪神大震災の時の被災地に比べ、わずか2〜3割程度だったそうで、周期1〜2秒が少ない、つまり、周期1秒以下の地震波が強いと、室内にある物は揺れるが、建物には影響が少ないのだそうです(読売オンラインより)。
境教授は
「地震の規模が大きくなれば、1秒以上の周期が多くなるとする常識と異なっている。
揺れによる建物被害が少なかったとすれば、それは建物の耐震性が高かったためではなく、
周期1〜2秒の地震波が弱かったことの方が大きい」
と指摘しています。
今回、富士・富士宮の地震で、古い建物に被害が集中したのも事実ですが、かなり新しい鉄骨の建物天井があちこちで落ちているのを見ると、こちらでも、この周期と被害の関係があったのでは?と思わざるを得ません。
もし地元で起こった今回の地震の周期が阪神大震災と同じだったら…?
今頃私たち富士・富士宮市民は、計画停電の有無を心配しているのではなく、岩手や宮城の様に、避難所で救援物資や燃料の心配をしていたのかもしれない、一度この想像をしてみるべきです。
そうです、東海・東南海地震は、これから起こる事実なのです。
被災地のリポートを見ると、まだまだ交通が遮断されているため、被災者自らがボランティアとなり、励まし合い、助け合う姿が映し出されています。
停電しても、電車が大混乱しても、黙って整然と待つ姿が映し出されています。
胸が熱くなるのと同時に、何も出来ない自分が恥ずかしい。
みんな同じ思いだと思いますし、まさに日本人全員で頑張っている、と言う事だと思います。
海外からも賞賛の声があがっているそうですね。
一方で、義援金詐欺も横行していると聞きます。
情けなく、悲しいことです。
避難所では非常に辛い生活を余儀なくされている方が居ます。
一方、こちらでも、あの地震の際に公的施設に避難された方が居ました。
一夜明けて、大したことは無かったと分かりましたが、当夜の判断としては避難をしようと思っても当然の揺れでした。
が、ごく一部でしょうが、その後数日その場を占拠し、お酒を持ち込んで宴会を開いていた面々も居たそうです。
呆れます。
建築業界ではどうでしょうか…
今、建築業界は、深刻な材料不足に見舞われています。
建材メーカーの多くが東北に工場を持ち、電力不足や交通の麻痺から、出荷や受注が停止されています。
特に合板は全くと言って良いほど流通の目処が立たず、先日の富士・富士宮の地震において、屋根の修理に合板を使うことは全く出来ません。
真偽の程は知りませんが、被災者のための仮設住宅用に政府が合板を全て押さえているのだとか…?
本当だとすれば、致し方ないですね。
ここはじっと待ちましょう。
ただ在庫分は…?
と誰しも考えますが、あの大地震で日本中が悪夢の様なTV放送に茫然自失の中、当日の夕方には、すでに大半の合板は買い占められてしまったそうです。
ある意味、頭が良いというか何というか…。
また冒頭に書きましたが、ここ富士・富士宮地区は、先週の地震でかなりの棟数の瓦に被害が出ておりまして、弊社監督も一日十数件と朝から飛び回っていますが、こんな例も出ているそうです。
有る方が、近所で早々と瓦の工事をしているのを見ていると、
「すぐ済むから、お宅もやってあげようか?」
との事。
4万円で出来ると言われ、瓦屋さんがつかまらない中、これ幸いとお願いしたら、
一時間ほど屋根の上にいて降りてきた瓦屋さんに、
「20万円です」
と言われたそうです。
印紙も貼っていない領収書を残して去っていったその瓦屋さん。
本当に瓦屋さん?
いわゆる流しの屋根屋と呼ばれるこの手の詐欺商法は、昔から有りましたが、こんな地震の時にも、かえって大活躍してしまっているようです。
どんな世界にも、どんな業界にも、こんな悲しい人たちは居ます。
こんな時にまで…、と憤る前に、オレオレ詐欺と同じで、常に注意し、冷静に判断することが求められています。
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