- 2009.07.02 木曜日
- ミニ建物探訪シリーズとして、鳥取&島根出張の事を何回か書かせていただきましたが、内容盛り沢山の出張だったため月をまたいでしました。
相変わらずダラダラ長くて恐縮ですが、もう少しお付き合い下さいませ。
さて、今回の出張のメインは、京都大学発祥の、森と里と海の生態系間の連環機構を理解する目的の、「森里海連環学」という新しい学問をちょっとかじってみよう、
ということで、良産材を出荷していることで知られる、鳥取県は智頭町でお勉強してきました。
その勉強の中で、智頭の山に入り、「慶長杉」を見てきました。
「慶長杉」とは、慶長の時代(1596〜1615)に植えられた杉とされています。
本当なら樹齢が400年とかになるんで、その辺は不明ですが、樹齢300年以上というのは確かなようです。
みんなで山道をてくてく登って行くと…
ありましたぁ〜。
広角レンズで撮っているので太さが分からないですね。
では、お約束で…
どうでしょうか、この堂々たる太さ!
先日の人間ドックでお腹回りを計られた時に恥ずかしかった自分の、何と小さいこと!
製材所や市場も見せて頂きましたが、目が詰んでとても良い材でした。
しかし、ご多分に漏れず、ここ杉の町智頭も、長引く国産材の値段低迷と需要減で、林業の経営は前途多難です。
町役場の方々とも交流会があったのですが、皆さん、地元の杉を愛しているが故に、その悩みは深刻でした。
でも、嘆いているだけではありません。
地元智頭の智頭病院を見学させていただいたのですが、全国の病院の見本となるような素晴らしいものでしたので、それをご紹介します。
智頭病院内部です。
どこか違うと思いませんか…?
そうです。
地元の智頭杉がふんだんに使われているのです。
病院は防火の規制が特に厳しいので、色々大変だったことが容易に想像出来ますが、それゆえ、
「地元の木を使って入院患者が癒される建物にしよう!」
という気概が伝わってくるようでした。
ついでに私が気付いたことも少々。
防火の問題や、掃除の問題、そして車いすやストレッチャーの使用を考え、床は重歩行用のシートで、手すりは継ぎ目無く連続出来る樹脂製の物でした。
これはそれしかないでしょう。
ただ、廊下を見ると、下の方が車いすがこすってどこも黒くなっており、腰まで木にしたかったなぁ…と思いました。
あと、下は中庭の写真。
とっても良い雰囲気に仕上がっているのですが、すっきりさせるデザイン重視で、軒先の水切りがちょっと小さすぎたかなぁ…と思いました。
こんなふうに水がまわってしまっていました。
おことわりしておきますが、これは批判ではありません。
人のやったことを批判するだけなら高校生のアルバイトでも出来ます。
全体としての雰囲気、そして先程も書いた通り、何とか地元の木を使って患者を癒す施設を作ろうという気概、それには深い感銘を受けました。
最後に、これは杉玉。
青い杉の葉が茶色になった頃新酒が出来る、ということで、私たちは酒屋さんの軒先位でしか目にすることはありませんが、智頭の町では、どの家の軒先にもつる下がっていました。
みんなで決めたことなんでしょうけれども、地元の杉への深い愛の様なものを感じました。
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