- 2009.06.25 木曜日
- 大邸宅なら、リビングや寝室の他に、ちょっとした個室スペースや客室、書院など、付属の部屋を作るのは難しくないのですが、普通の小さな家を考える時、そういった付属的な部屋を設けようとすれば、必然的に小さな部屋となります。
部屋の広さ、天井の高さ、部屋の明るさ、そういったことを考えるにあたり、
茶室にで考える→待庵写しと明々庵
昔の家で考える→武家屋敷
と書いてきましたが、本日はその答編とも言うべき、「住宅」で考えてみましょう。
武家屋敷の会の最後に書きましたが、島根への出張で、永田昌民先生の最新の住宅を見学させて頂きました。
大勢でぞろぞろ見学させて頂いたので、写真は先日もご紹介させていただきましたが、下記のページでご覧下さい。
マクスでも加盟している『町の工務店ネット』の『住まいネット新聞びお』の『永田昌民さんの一番新しい仕事』の記事
さて、このお宅、
天井の高さがリビングも含め、2.2m!
一般に、
天井が高い→贅沢でゆったりした空間
天井が低い→狭っ苦しい空間
と言うイメージありませんか?
でも天井を不用意に高くすると、
・階段の段数が増え、階段室が広くとるか階段を急にしなければいけません
・外壁面積が増えてコストが高くなります
・特に二階では、屋根の位置が高くなり、雨が吹き込みやすくなります
そしてこれが一番、
・建物のプロポーションが不格好になります
なので普段から、天井高というか、建物の高さは、出来るだけ低くすることを心掛けています。
が、
リビングを2.2mにしたことはない。
その高さであることは事前に知っていたので、ドキドキわくわくしながら見学に行ったのですが…
うぅ…、
全く違和感なし。
待庵を「狭いのに広く感じる」とか言いますが、そういう精神的なものではなく、
実際に気にならないのです。
多分、一般の方が何も言わずに訪れたら、
「この家随分天井低いな…」
と感じる人は居ないのではないでしょうか。
それほど自然なのでした。
そしてもう一つ特筆すべきは、徹底的に線を消したすっきりとした上質なデザイン。
実際自分の目で見ると、他の家が野暮ったく感じてしまいます。
永田先生は、丁寧に、優しく、色々なことを教えてくださいました。
天井の高さについて質問させていただいたのですが、
構造上そうしたわけでも、特別こだわって下げたわけでもなく、建具の納まりから最も美しく見える寸法で設計する、
とのことでした。
「見学会では立って眺めるかも知れませんが、
実際の生活では立ったまま部屋を見渡すことなどあまり無いのですよ。
部屋でくつろぐ時は座っているのです。
その時に、天井の高さがいくつくらいか…
そんなに関係ないのです。
それより、
座って外を眺めた時にどう見えるか、
部屋とそとの景色はどうつながってゆくか、
それが大切です。」
なるほど〜っ、仰る通り!
深いぃ。
天井と壁の納まり、
壁と建具の納まり、
天井と窓の納まり、
随所にすっきり見せる工夫が見られ、ディテールにいかに気を遣ってることか…。
大工泣かせの納まりでもありますが。
見学した工務店、若い建築家達はみな、設計において大切なものは奇抜なデザインでも斬新な間取りでもないことを、これでもかと見せつけられたのでした。
今回は写真は少なめです。
人がゴチャゴチャ写っている写真より、冒頭のネット新聞「びお」の記事をご覧下さい。
町の工務店ネット代表でもある小池編集長がこんなふうに苦労して撮った美しい写真の数々が見られます(笑)。
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