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吉野材視察 その1

日本のトップブランドの一つ、吉野材。
その仕入れに関する打合せと共に、実際に山に入り、目で、鼻で、手で、吉野の森を感じて参りました。

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吉野の杉・桧の最大の特徴は、均等で緻密な年輪。
それは、
『栄養の乏しい、ほとんど岩の様な場所に育つ屋久杉の年輪は異常に細かい←気候風土による』
ものではなく、意図的に、人為的に、500年の時をかけて作り上げてきたものです。

どの様にしたらそうなるのか、それは、密植(高密度植林)・多間伐・長伐期のたまものです。

高密度に植えられた杉桧は、枝を広げられず、成長がゆっくりになります。
狭い場所のラジオ体操で、思うように体操が出来ない感じ…でお分かりいただけるでしょうか。
必然的に、毎年形成される年輪は、薄く、細かくなります。

現在、林業において経営上やむを得なく行われている伐採方法に「皆伐(かいばつ)」という方法があります。
間伐の反対語と言えるでしょう。
間引きではなく、その周囲の木材は、太さに関係なく全て伐採する方法です。
代償として、山は禿げ山となり、大雨時には土砂崩れを誘発します。

通常100m×100mの1haあたり3〜4千本植樹するのに対し、吉野ではそれを遙かに上回る一万本を植えます。
そして、何度も何度も間伐を繰り返します。
間伐をしすぎると、残った木が早く大きくなってしまうので、常に一定の密度を保つように、何度も何度も間伐し、ゆっくりゆっくり成長させるので、樹齢100年を越える間伐材、というような、静岡では考えられない林業がされています。

一般的には40〜50年で伐採されるものを、その二倍の80〜100年に引き延ばしてゆくのが長伐期です。
除伐と間伐を何度も何度も繰り返して、真っ直ぐで節の無い、目の詰んだ大経木にして行きます。
吉野では、中には250年を超す材もあります。


これらは以前、「構造材としての紀州材の森」に行った時にも書きましたが、その地によって、歴史的に需要が違ったことも大きく影響します。

九州では造船用に、とにかく大経木の需要が高かったので、早く大きくなる様に木を育てました。
吉野では、緻密で目が細かくて真っ直ぐな物が、酒樽や味噌樽として重宝されました。
灘の銘酒の酒樽は、年輪の巾が均一に揃って美しく見える様に、上記の
『苗木を密植して、間伐を調整することで年輪幅を一定にする方法』
を見つけ出した事によって出来ているのです。

また、数寄屋建築では、繊細で節のない造作材として全国ブランドになりました。


現在、日本の林業は非常に苦しい状況にあります。
外材にその需要を奪われてしまったためです。

でも、そもそも何故私たちの身の回りに、こんなに森や林がいっぱいあるのに、わざわざ外国から運んでくる材木の方が安いのか?
それは、伐採・集材・製材にかかるコストが高いからです。

吉野の場合、特にそれが言えます。
吉野材は、吉野の急な山の斜面に高密度で植えられています。
何代にもわたり、手間暇をもの凄く掛けて育ててきた、目の詰んだ節のない材木を、皆伐で安売りしてしまっては、それでお終いです。

間伐した付加価値のある良質材を売ろうと思っても、山には木材市場まで運ぶ道がありません。

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ではどうするか、それがこの写真。
ヘリコプターによって集材が行われています。

ただし、このヘリによる集材は、もの凄くコストがかかります。
わずか1分で、1万円というコストがかかるのです。
結果、30mほどの良質な吉野材は、素性の良い一番玉・二番玉(根本から4m毎に切ってそう数える)のみ集材され、残りはそのまま放置(その場に捨てられる)されています。
何とももったいない話ですが、それが現実です。

材木価格が高かった時代は良かったのですが、現在、国産材の価値は、なんと50年前の価格にまで下落しているそうです。
調べてみると、公務員の初任給は、50年前に比べて11.5倍になっていますから、貨幣価値の推移を考えると、とんでもない暴落であることがお分かりいただけると思います。


今回、吉野の山にお邪魔したのは、吉野に江戸中期から続く林業家の清光林業さんの山。

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写真中央でお話ししていただいているのは、なんと17代目の岡橋清元会長。
岡橋会長は、大橋式という作業林道を、自ら山に入って作り上げ、2tダンプによる集材を可能にしました。

「林業・林道」というと「補助金」というイメージが直ぐに浮かぶのですが、岡橋会長曰く、補助金で林道を作っても、儲かるのは土建屋さんだけ、急峻なところを無理矢理切り開き、多額の補助金で部分的に作っても、それは大雨でやられる弱い道路であり、本当の意味で林業の役には立たないんだそうです。

そこで、低コストで作れる、つまりそれだけ長く作業道を張り巡らすことが出来る、大橋式林道を自ら作って集材をしているのです。

それが前回ご紹介した、遊園地のアトラクションのような怖い道。
でも、一見怖いのですが、この作業道が凄い。

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矢印の所、そう、木で骨組みがあるのです。
この骨組みがあるから崩れない。
今まで、一度も車が落ちたりといった事故がないんだそうです。
巾2.5mのこの作業道、30年間作り続けられ、現在総延長は約80kmと言います。

そもそも、大昔は桶用だから短く切って人が担いで降りていたんですって。
ヘリで集積していては吉野材の未来はないと、30年も前から自分で道を造り続けてきた…。
凄いなぁ〜。


とにかく、実際に山に入って感じたこと、それは、こんなに良い木があるのに、使われないなんて本当にもったいない。
こんなに一生懸命に育てている人達が居るのに、報われないなんて悲しすぎる。

森林大国日本、何とかならないものだろうか…。
それを何とかしようという取り組みへと話は繋がって行くのですが、長くなったので続きます。



というか、そもそもこんな長いブログ、読む人いるのだろうか…?
そこで、手っ取り早いのがこちら。
TBSの日曜朝のバラエティー「がっちりマンデー」で
清光林業さんが取り上げられた回のバックナンバーです。


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桧の家 住宅のお話し | comments (2) | trackbacks (0)

Comments

鈴木 | 2012/04/23 05:54 PM
博多のケン坊様
かつてネコまたぎと材木屋に陰口をたたかれた富士桧も、最近では品質管理技術を上げて良くなってきています。
うちでもデッキ材などで使っています。
日本は、世界二位の森林率がありながら、自国の森からは2割しか切り出さずに、外国から木を買いまくって、そのうえ30年で建て替える家をせっせと作っている世界の木食い虫。
この現状を変えなければいけませんし、そのためにはもっともっと工務店が頑張らなきゃ駄目ですよね。
博多のケン坊より | 2012/04/23 01:35 PM
富士の大将へ

同感です。

まずは地元の木材を使う事に専念してます。
吉野も、使えるようになれば良いですね。

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